真珠岩を急速加熱すると得られるパーライトは高性能な軽量骨材としてセメント、
モルタル、サイディングボード、除滓材や緑化剤としても使用されています。

フィラーとは?

フィラーの日本語訳として、かつては充填剤が一般的でした。これは、塗料やゴム、樹脂の分野でもフィラーは補助的な役割でしか評価されていなかったことにも一因します。しかし近年、複合材料の目覚ましい進展に伴って、複合素材としてのフィラーの活躍が注目されると、いつしか充填材という書き方が通例化しています。従って、発音は同じでも剤から材への移行はフィラーの上にも歴史的な流れを感じるのです。

ASTMは「強度や各種性質の改良の為に、あるいはコストの低減の為にプラスチックに加えられる比較的不活性な物質」としてフィラーを定義していますが、確かに不活性であることは、フィラーの最も多いし使用目的が弾性率・引張強度・曲げ強度などの機械的機能向上なので望ましい性質ではあります。しかし、実際は活性を利用して樹脂やプラスチックなどのマトリックス(母材)の機能改善を行うことも多々あります。なので、フィラーを枠にはめて定義する必要はなく、もっと発展的要素を持つものとしてフィラーをとらえて行くことが肝要と考えます。

さて、複合材料におけるフィラーの役割ですが、最近ますます多様化の方向にあり、ハイテク時代にふさわしい先端的な用途、あるいは役割が積極的に求められています。しかし、大別すると①増量、②補強、③機能付与を三大役割と考えられます。今日、プラスチックの高付加価値化に対するフィラーへの期待は高まる一方ですが、母材のコスト低減に課す役割もこれまで通り重要であることに変わりはありません。しかし、フィラー業界の近年の特徴といえば、補強用フィラーの積極的な開発と、極めてバラエティに富んだ機能性フィラーの展開につきます。もちろん、母材の高付加価値化,高性能化並びにハイテク産業の進展が、フィラーの展開において大きな原動力となっていることは確かです。

フィラー・充填材の材料には、多種多様な物質が存在していますが、本サイトでは、主に建築現場で使用される軽量骨材や性能向上を目的とした充填材や工業分野で使用される充填材である珪藻土・パーライト・フライアッシュバルーン(セノスフィア)を中心に解説を行います。

汎用フィラー

珪藻土・パーライト・フライアッシュバルーンは汎用フィラーの代表的な素材であり、ゴムや樹脂の使用目的としては、増量・補強・加工助剤・粘度調整・調色・離型剤など応用範囲が広く、充填材を添加しない樹脂はほとんどないほど、存在感が強くなってきています。また、建築分野においては、増量・補強・軽量化・性能向上などに利用されています。工業分野としては、樹脂以外にも、製紙・塗料・シーリング材などに多用されています。

主に建築現場で使われる充填材・フィラー

建築現場で期待される性能は、コストダウンと性能向上です。
珪藻土・パーライト/シリカバルーン・フライアッシュバルーンはポゾラン※1であり、セメントに混ぜるとポゾラン反応が起こるため、コンクリートの強度を上げる効果があります。更にパーライト・セノスフィアは軽量で、嵩密度が小さく(ボリュームがある)、中空球体の為、軽くて丈夫なコンクリートを本来の強度を失わずに生成することが可能です。

※1)シリカを多量に含有するもので、自身に水硬性はないが、水存在下で水酸化カルシウムと常温で反応し、ケイ酸カルシウム水和物を生成して硬化する物質。

また、パーライト/シラスバルーン、フライアッシュバルーンはいずれも中空球体形状を有しており、非常に優れた防火性・断熱性・防音性に優れることから壁材(サイディングボード)やモルタル、塗料などに用いられています。

工業分野での充填材・フィラー

元々、作業性の向上や増量剤として砂利や石油製品を混入させて使われていたフィラー分野では、近年安全性や品質を重視する日本市場に求められる性能も変化してきました。
純粋にコストダウンを目的とした添加の場合は完成品により多種多様な添加剤があり、ガラスや石綿などが使われていたが、強い発癌性を有することから、作業者への安全確保の為に、珪藻土やパーライト、フライアッシュバルーンが使われるようになりました。

フィラー分野で主役となりつつある珪藻土、パーライト/シラスバルーン、フライアッシュバルーンの比較表

  珪藻土 パーライト シラスバルーン フライアッシュバルーン
軽量
耐薬品・不活性
遮音
耐火・耐熱
不燃・断熱
耐圧・強度 ×
流動性 ×
調湿 ×
吸液・担持・含侵 ×
ポゾラン反応
表面改質(凸凹)